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夏が終わる速度

by 白井凪
走って走って夜を追い越してしまえよ
僕ら傷ついたままでも光になれる気がした
サイダーの泡みたいに消えてしまう青春でも
君の声だけはまだこの胸で鳴っている

潮風みたいなノイズがイヤフォン越しに夏を連れてきた
眠れないまま飛び出した午前二時の国道沿い
自販機の青い灯り揺れる影とアスファルト
「未来なんて知らない」って君は静かに笑っていた

失くしたものばかり数えて 大人になっていくなら
せめて今だけは馬鹿みたいに叫びたかった

走って走って夜明けを奪いに行こうよ
君と壊れた世界なら少し綺麗に見えた
ラムネ瓶の向こう側滲んでいく街灯り
忘れたくないものが増えていくのが怖かった

コンビニ前の沈黙と湿った風の匂い
遠くで始発電車が夏を連れ去っていく
君の横顔だけが妙に大人びて見えて
言葉にできない孤独をずっと抱えている気がした

海沿いの防波堤 黙ったまま座っていた
「この夏が終わってもちゃんと覚えていて」
君のその一言が今も胸に残ってる

走って走って季節を追い越してしまえよ
僕ら不完全なままで生きていける気がした
青すぎる夜の中心だけ燃えていた
君と見たあの空は今も胸を刺している
走って走ってもう戻れなくていいよ
夏の終わりだけが綺麗で苦しかった

午前五時の海に白い光が落ちていく
君のいない季節だけが静かに続いていく
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